お知らせ
耐震診断~耐震補強の必要性 <自宅での建物倒壊による被害を抑えるために>
こんにちは。
最近、世界各地で地震が起きていますね。
日本でも、各地で地震が発生しております。
以前から大きな地震が発生すると言われ続けて久しいですが、
内閣府で発表している資料では、今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起こる確率が
70%程度と言われております。
内閣府ホームページ:http://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/jishin.html
現在の建築基準法で定められている耐震性能は、(簡略化して記載します。)
・震度5程度に対して、ほとんど損傷が生じないこと。
・震度6程度に対して、倒壊・崩壊しないこと。(阪神・淡路大震災レベル)
と定められており、巨大地震で人命が失われないことを目標としています。
地震で不安な建物は?
この基準が定められたのが1981年になりますので、この年数より古い建物は
耐震性能に不安のある建物になります。
この年の改正は1978年に発生した宮城県沖地震を教訓に改正されました。
築年数で言うと41年になります。
次に大きな改正がされたのが2000年になります。
こちらは、1995年の阪神・淡路大震災を機に改正されました。
築年数で言うと22年になります。
この1981年から2000年までの間の建築物は、比較的被害を受けにくいと
されています。
しかしながら、2016年に起きた熊本地震ではこの年代の建物の被害も
多く見られました。
(震度7相当が2度襲っていますのでその影響もありますが・・・)
このような観点から、築年数30年を目安に建物の診断することをお勧めいたします。
さて、地震の被害を受けそうな年代の建物を示しましたが、
建物が実際地震に対して、どのくらいの強さを持っているかを調査・診断するのが、
耐震診断になります。
耐震診断とは?
では、耐震診断って何をしてくれるんだろう?と
疑問を持つ方が多くいらっしゃると思います。
先程記載しました、『建物が地震に対してどのくらいの強さを持っているか』を
数値化して最終的には表します。
その結果が、現行の建築基準法に沿った耐震性能を有している場合は、
点数(評点)が1.0以上の点数になります。
基準法同等であれば1.0、それ以上であれば1.2や1.5などの数字になります。
反対に耐震性能が劣っている場合は、点数(評点)が0.7や0.5などの点数になります。
その点数を出すためには、色々と建物の状況を考慮しなければなりません。
建物に劣化事象、例えば雨漏り、水漏れによる柱等の腐食、シロアリによる
食害などがあれば、当然地震で建物が揺れたときには弱点となります。
在来木造の建物でしたら筋交いの存在も建物の強さの目安になります。
また、壁の種類によっても強さが変わってきますので、
それぞれの建物に対しての状況判断が大切になってきます。
これらの状況判断したものを踏まえて耐震の計算をしていきます。
ここまでの作業が耐震診断です。建物の大きさにもよりますが、
3~4時間掛かることもあります。
耐震補強とは?
では、耐震診断で耐震性能が劣っている場合はどうすれば良いのか?
不安を抱えて住み続けることはかなり辛いことですよね。
耐震診断を行った後ですと、家の弱点が見えてきますので、
そこを補強して地震に対して強い建物にすることが可能です。
実際、補強とはどのようなことをするのでしょうか?
まず、建物を支えているコンクリートの基礎。古い建物ですとコンクリートの中に
鉄筋が入っていなかったり、少なかったりで強度が不足しています。
強度が不足している場合は、地震で負荷がかかった時に基礎の損傷を抑えることが
可能なアラミド繊維等で補強という方法があります。
基礎補強参考:https://kensetsu.ipros.jp/product/detail/2000262973
在来木造住宅で地震に抵抗してくれるのが、筋交いや耐力壁と言われる部材に
なりますが、古い建物になりますとこれらの部材が入っていなかったり、
力不足のものが多く見られます。
補強する際にはこれらの部材を配置良く入れ建物全体の強度を上げていくように
設計していきます。
壁の補強をしていく際に注意したいのが、壁のとりつく柱に掛かる力が補強した後に
大きくなる所です。
地震後に倒壊した建物を調査すると、柱が根元から抜けているのが見られます。
壁をいくら強くしても柱が抜けてしまっては、倒壊することは防げません。
壁の補強をした後に、しっかり計算して柱に掛かる力を算出して
柱もしっかり補強します。
耐震補強で多くみられるのが以上のような工事ですが、壁の補強だけではなく、
木材に使用されている金物や水平面(床組)の補強なども考慮すると、
より強い建物になっていきます。
どのくらいの揺れに耐えられるのか?
さて補強工事をするときに疑問に感じるのが、
『補強したらどのくらいの地震に耐えられるのか?』ということでは
ないでしょうか。
よく耳にする『震度』は日本独自のもので、最高が震度7と設定されています。
仮に震度8レベルの揺れがあっても表現は震度7と表現されます。
ただ、震度7を超える地震はほぼ無いということから、
震度7が最高のレベルに設定されています。
冒頭に記述させて頂きました建築基準法に則って
耐震補強の基準も設定されています。
巨大地震、震度6強から震度7の揺れに対して建物が倒壊・崩壊しないことが
耐震補強でも求められています。
倒壊を免れるのであって、建物へのダメージ・損傷は出てきてしまいます。
あくまでも人命を守る為、建物の倒壊による犠牲を抑える為の措置
ということはご承知おきください。
最後に
ご自宅でお過しになっている時に大きな揺れが来た場合、
ほとんど身動きが取れません。揺れが収まってから色々な行動をすることに
なります。
揺れが収まるまでに建物が倒壊してしまっては避難することもままなりません。
建物の耐震工事は、揺れが収まってから避難グッズを持って落ち着いて
避難先に向かうことを可能にする手段になります。
今後起こるであろうと言われている大地震に備えて、
一度ご自宅の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
一緒に安心できるお住まいを造っていきましょう!!